令和7年町長日誌
広報にちなん令和7年12月号より
「過疎地域対策法」は1970年に制定され、人口減少や高齢化、財政力の弱さを補うために交付税等で地域を支援してきました。しかし近年は人口流出の加速や地域経済の縮小など、従来の手法では対応が難しくなり、地域が自立し持続できる仕組みづくりを目指し、2021年に「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」へと改正されました。それでも全国の市町村の51・5%、人口の9.3%が過疎地域に暮らしており、過疎地域は現在も増え続けています。言い換えれば、60年以上にわたり人口減少・過疎化を止めることはできていません。
去る10月30日には「全国過疎問題シンポジウム2025 in とっとり」が開催され、私は県の過疎地域振興部会長として開会宣言を行いました。その中で、「過疎」という言葉は「消えていく地域」の象徴のように捉えられがちですが、豊かな自然や人のつながりに支えられた暮らしを守り・育て・受け継ぐ努力を重ねることで、過疎地域だからこそ描ける未来があるとお話ししました。
シンポジウムでは、創意工夫によって過疎の課題解決に挑む事例も紹介され、人と人とのつながりを通じて未来を考える貴重な機会となりました。私自身も大きな元気と励ましをいただきました。今後も、過疎問題に正面から向き合って取り組んでまいります。
広報にちなん令和7年11月号より
先日、令和8年度「にちなん中国山地林業アカデミー」生徒募集に向けて、第2回オープンキャンパスを開催しました。参加者は5名で、社会人3名と高校2年生2名。関東・関西圏や県内出身の方々にご参加いただきました。
本格的な採用試験に向けた取り組みの一環として、当日は林業全般の現状や町内の林業の様子、アカデミーでの学びの内容、そして町内での暮らしについて詳しく説明しました。終了後には、演習現場で林業機械の操作体験も行い、実際の仕事のイメージや林業の魅力を感じていただけたものと思います。
国内では、生産年齢人口の減少による労働力不足により、人材確保がますます難しくなっています。林業は「きつい・危険」といったイメージを持たれがちですが、森林がもつ水源涵養や二酸化炭素吸収といった公益的機能の大切さを理解し、使命感を持って働いてもらうことも、林業先進地である本町の林業アカデミーの重要な役割だと感じています。
今後も、来春の合格者が定員に達するよう、引き続き募集活動を強化していきます。
広報にちなん令和7年10月号より
環境省が「2100年の未来天気予報」を公表しました。これは、気候変動によって日本でどのような影響が考えられるかを分野ごとに示したものです。今後さらに詳しく検討されていく予定ですが、今回はその一部をご紹介します。
農業では、コメの総生産量は増える一方で、品質低下のリスクが高まると予測され、少雨が続くことで渇水のリスクが増えると見込まれています。自然災害の面では、梅雨後期の降雨量や強い雨の頻度が増え、洪水の危険性が高まり、山間部では土石流などの危険度が増すと想定されています。
また、健康への影響も深刻で、暑さによる熱中症などの死亡リスクは、今世紀末には現在の約2〜4倍に増えると予想されています。こうした予測の一部を見ても、すでにその兆しを感じているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。温室効果ガスの削減やCO2吸収の取り組みを進めることが、未来の暮らしを守ることにつながります。私たち一人ひとりが行動し、次の世代によりよい環境を引き継いでいきましょう。
広報にちなん令和7年9月号より
最近、「猛暑日」、「最高気温更新」、「取水制限」といった言葉が、ニュースなどで頻繁に取り上げられています。日南町でも、農家の皆さんをはじめ、多くの方が「雨が欲しい」と願っていることでしょう。7月上旬に一度雨が降りましたが、もう少しまとまった雨が欲しいところです。
さて、先日、日南町菅沢地域にある「聖滝」で、「にちなん縁結び大使」の任命式を行いました。今回任命させていただいたのは、芸人コンビ「ほのまる」のお二人です。
この地には、神話の中に登場する神様が結婚の儀を行ったという言い伝えがあります。また、コンビの一人が今年、この聖滝でプロポーズし、ご結婚されたというご縁もあり、今回の任命に至りました。そうした背景を踏まえ、地域と行政がタッグを組み「聖滝」を”縁結びの聖地”として広く発信するプロジェクトがスタートしました。
大使としての初仕事は「滝行」でした。連日の晴天により水不足が心配される中でも、高さ20メートルから流れ落ちる滝の水は豊富で、冷たく清らかな滝行にふさわしい光景となりました。
今後、多くの若者や恋人たちがこの地を訪れ、結ばれていく。そんな「縁結びの聖地」として、町に賑わいが生まれることを期待しています。
暑い日が続きます。”縁結びの聖滝”で涼を感じながら、ご縁を探してみませんか?
広報にちなん令和7年8月号より
今年の梅雨明けは、なんと6月の末ごろでした。昨年よりも20日ほど早く、びっくりされた方も多いのではないでしょうか。
中国地方ではこれまで、7月や8月に梅雨が明けることもありましたが、平均的には7月中旬から下旬ごろ。6月中の梅雨明けは、記録的な早さです。
梅雨が明けてからは、晴れの日が続き、気温もぐんぐん上がって、真夏日が連日のように続いています。こんなに早く、そして長く暑さが続くのは、私自身も初めての経験です。これからさらに暑さが続くことが予想されますので、農作物への影響はもちろん、何よりも熱中症への備えがとても大切になってきます。
そこで町では、みなさんに少しでも涼んでいただけるよう、役場やパセオ、生山駅、各地域振興センターなどに「涼み処」をご用意しました。外出のついでや、ちょっと一息つきたいとき、友人とのおしゃべりの場としても、どうぞ遠慮なくご利用ください。「まだ大丈夫」とがまんせずに、涼しい場所を上手に使いながら、この夏を元気に乗り切っていきましょう。
広報にちなん令和7年7月号より
令和のコメ騒動に関し、引き続きお話ししたいと思います。現在、店頭での米の価格は昨年の倍近くに上昇し、政府による備蓄米の放出など対応策が連日報道されています。2年前の猛暑による不作の影響もあり、昨年は単価の高騰が見られましたが、生産量は概ね平年並みでありました。
このような状況にもかかわらず、コメ不足の騒動が起きている背景は想像以上に複雑であり、私も驚いております。しかしながら、生産者の立場から考えてみると、この事態が農業への理解を深める貴重な機会となったことは確かです。農家が安心して作り続けられ、消費者が適正な価格で米を食べ続けられる環境の実現が、国の掲げる「適正価格」そのものであります。
政府は現在、米政策の改革議論を進めており、農業を取り巻く高齢化や人手不足、気候変動や害虫、鳥獣被害といった厳しい課題に直面しております。こうした厳しい状況のなかで、持続的かつ安定した農産物の供給体制を築き、食料安全保障の確立に努めていただきたいと強く願う次第です。
広報にちなん令和7年6月号より

行楽や帰省に多くの人が移動した、大型連休も終わりました。好天にも恵まれ新緑がまぶしく、稲作など農業に汗を流す例年と変わらぬ風景です。
田植えを終えた農家やまだまだこれからという農家など様々ですが、我が家の周辺ではトラクターや田植え機が大型の農業機械に変わってきた様子に、農家の在り方に変化を感じています。日南町が誇るおいしいお米作りも兼業農家や農業法人、集落営農組織との組み合わせが欠かせなくなっていると感じています。この背景として、労働力確保と経営方法の変化が影響していると考えられます。
昨今は「令和の米騒動」と呼ばれるように、スーパーに米がない、高いという状況になっています。農家の皆さんからは「今年の米の価格はどうなるでしょうか」というお話をいただく中で、国からも「適正価格」という言葉がでています。
お米は日本の主食として重要な作物ですので、生産農家の「来年も頑張って作ろう」というやる気に繋がること、消費者にとっても安心して買える社会になること、これらが両立できる社会を目指したいと考えています。
広報にちなん令和7年5月号より
日南町も桜が咲き始め、春らしい暖かな日が多くなってきました。学校では入学式、会社では入社式など人生の節目をむかえ、慌ただしくも希望や夢に向かって歩み始めた方も多いのではないでしょうか?
さて令和7年度がスタートしました。新規事業等もありますので、町民の皆様にスピーディーに情報提供していきます。ホームページや町報、町政のしおりでの紹介はもちろんですが、今年度もちゃんねる日南において、4月中旬頃から各課ごとに今年度の新規事業や新規職員紹介など、元気に明るい話題を中心に紹介していきますので、ぜひご覧いただきたいと思います。引き続き様々な方法で情報の発信に努め、町民の皆さんに知っていただくことが重要と考えています。皆様には忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いです。
令和7年度も町民の皆様に安心してこのまちで暮らしていただき、「住んでよかった」と実感いただけるまちづくりを推進してまいります。
広報にちなん令和7年4月号より

3月8日、米子市淀江文化ホールを会場に日南町オーガニックビレッジ推進協議会主催による講演会を行いました。東京大学特任教授の鈴木宣弘氏を講師にお招きし「世界で最初に飢えるのは日本!?農家さんとのつながりが我が家の食料安全保障」と題して、日本の農業政策や食料安全保障の課題についてご講演いただきました。コメ不足や価格高騰の「令和の米騒動」と叫ばれている昨今、地元の生産者をはじめ約170人にご参加いただきました。
講演では、私たちがあまり知り得ない農政に関わる情報を詳しくお話しいただき、参加者は興味深く聞き入っておられました。特に、コメの高騰に関しては「30年前の価格と同じになっただけ」であり、消費者の理解を求めるとともに、地産地消による循環型農業が大切であると述べられました。本町のような生産地域が持続可能な農業を守り、生産者と消費者を繋ぐことが、国内の食料安全保障の強化につながります。改めて「自分たちの食べ物は自分たちで守る」という意識を持ち行動したいと思います。
広報にちなん令和7年3月号より
先日、日南町の大宮地区で水稲栽培されているノータス研究所が「2024年産米の食味分析鑑定コンクール国際大会」において特別優秀賞を受賞した報告に来られました。同時に、「お米日本一コンテスト」「全日本お米グランプリ」の大会にも出品され、いずれの品評会においても優秀な成績を収められました。
日南町では、うるち米はコシヒカリが主流ですが、ノータス研究所では「ゆうだい21」という品種を栽培されています。最近、全国で表彰を受ける品種の多くがこの品種だそうです。
「ゆうだい21」は、暑さに強く、甘い香りや粘り、冷めてもおいしいという特徴があり、お弁当に使用しても相性がいいそうです。私も試食をさせていただきましたが「ゆうだい21」の特徴どおり、香り、旨味のバランス感がよく、とてももちもちとした食感がある美味しいお米でした。
お話をうかがう中で、おいしいお米を栽培するにあたり「ノータス研究所」という社名のとおり、熱意をもって日々、研究、チャレンジをされていることを強く感じました。町としましても生産者の皆様と一緒になって「日南米」の更なる知名度アップ、販路拡大へつなげてまいります。
広報にちなん令和7年2月号より

雪のない穏やかに晴れた2025年のスタートとなりました。町民の皆様におかれましては、ご家族とゆっくりと過ごされたのではないかと推察いたします。昨年は元日の能登半島地震、大雨被害などの災害も多くあった年でありましたが、今年1年が大きな災害のない穏やかな年になることを切に願っています。
昨年は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、社会・経済活動が日常を取り戻した一方、燃料高騰、物価高騰はいまだに続いており、町民の皆様の生活、町内の経済活動に大きな影響を与えています。町としても、町内の情勢を見極めながら必要なタイミングで必要な支援策を講じてまいります。
また、海外に目を向けるとアメリカのトランプ大統領の政権就任や、ロシアのウクライナへの軍事侵攻、ガザ地区での紛争など終結が見えない状況が続いています。歴史的な背景、宗教、政治不安など、その理由は様々ではありますが、地球上全ての人間が平和で安心して暮らせる社会の実現にむけ、我々も常に考えていかなければなりません。
石破首相は、地方創生2.0について、「単なる地方の活性化策ではなく、日本全体の活力を取り戻す経済政策であり、国民の多様な幸せ、楽しい地方を実現する社会政策である」と言われています。地方創生2.0の始まりの年に当たり、「若者定住・女性活躍・子育て支援」を施策の柱ととらえ「地方から日本を変えていく」という強い決意をもってまちづくりに挑戦してまいります。
皆様の2025年が、穏やかで楽しく、実り多い年となりますようお祈り申し上げます。
更新日:2025年12月25日